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簡易宿所許可申請での要件チェック(福岡市の場合)その②

簡易宿所許可申請での要件チェック(福岡市の場合)その②

昨日に続き簡易宿所許可申請の必要書類と要件チェックを確認します。
今回は旅館業の中の簡易宿所許可にあたってのメイン部分の要件になります。
まずはおさらいになりますが、簡易宿所の定義です。
 
【旅館業法第2条】

「簡易宿所営業」とは,宿泊する場所を多数人で共用する構造及び設備を主とする施設を設け,宿泊料を受けて,人を宿泊させる営業で,下宿営業以外のものをいいます。

簡易宿所とは「宿泊する場所を多人数で共用する構造及び設備を主とする施設」で「宿泊料を受けて、人を宿泊させる」営業と定義されています。
シェアハウスやカプセルホテル、スキー小屋やロッジなどの施設が該当します。

目次

 営業許可の制限(設置場所に関するもの)【法第3条,福岡市旅館業法施行条例第8条,福岡市旅館業法施行細則第10 条】

以下の場合は営業許可を与えない場合があります。

①   施設の設置場所が公衆衛生上不適当であると認められるとき。
②   施設の設置場所が,学校(大学を除く),児童福祉施設及び社会教育施設等(※)の周囲おおむね100 m の区域内にあり,その設置によって当該施設の
清純な施設環境が著しく害されるおそれがあると認められるとき。
(※)青年の家,公民館,図書館,博物館,児童公園,国・地方公共団体が運営する運動施設,市民センター,専修学校等が該当

①については、宿泊所は大勢の人が利用するので清潔に保ちましょうねという意味です。布団に虫がわいたり、宿泊したら病気になってしまうような施設は泊まりたくないですよね。
③     については、周囲100メートル以内に学校等がある場合にいかがわしい営業をしている宿泊所をつくるのは子供たちにもよくないのでやめてくださいということ。

施設基準(構造・設備基準),衛生措置基準

施設全般
①施設は,玄関,客室その他宿泊者等の用途に供する施設を一体的に管理することができる構造であり,かつ,住居その他の施設と明確に区画され,これらが混在していない構造であること。ただし,住居その他の施設との混在に関し規則で定める要件を満たす施設については,この限りでない。

【規則で定める要件】

旅館業の営業の許可を受けようとする者が施設を営業の用に供するための権原を有していること。
→基本は宿泊施設は玄関から客室まで宿泊者専用の通路などがあり、他住居部分などと混在しないことが要件ですが、許可申請者が施設を営業に使用できる権限があれば問題ないとのことです。
自己所有の物件など混在部分も許可申請者が権限を持っていることが大事です。

玄関帳場(フロント)

・適当な規模の玄関及び帳場を有すること。ただし,宿泊者の定員が10 人未満の施設であって,健全な営業形態及び宿泊者の安全の確保に関し規則で定める要件を満たすものについては,適当な規模の玄関を有すること。

【規則で定める要件】

①   帳場の機能を代替する設備が設けられ,かつ,善良の風俗の保持を図るための措置が講じられていること。
②   事故が発生した場合でその他緊急を要する場合に迅速に対応することができる体制が整備されていること。
③   帳場を設置する場合にあっては,宿泊者その他の施設の利用者の出入りを容易に確認することができる位置に設けられていること。
→定員にあった規模の玄関が必要。①②は前回の記事で紹介したビデオカメラの設置や管理事務所の設置のことです。

客室

<一般事項>
①   客室の延床面積は,33(法第3条第1項の許可の申請に当たって宿泊者の数を10 人未満とする場合には,3.3 m2 に当該宿泊者の数を乗じて得た面積) m2 以上であること。
②   他の客室を通行しないで出入りすることができる構造であること。
③   換気及び採光のため,直接外気に接する箇所に適当な窓が設けられていること。
④   客室の天井の高さは,2.1 m 以上であること。
⑤客室とそれ以外の室との境は,壁造りであること。
<客室の要件>
注:床面積は,内法(うちのり)による有効面積
→①は建物全体の延床面積を指します。例えば4部屋のアパートだとすると4部屋の延床面積です。宿泊者も施設全体で10人未満の時の緩和措置となります。
 
1客室あたりの要件
1客室の床面積は,4.5 m2 以上であること。ただし,宿泊者の定員が10 人未満の施設については,この限りでない。

寝具の収納

和式の構造設備による客室には,寝具類を収納する

階層式寝台

①   上段と下段の間隔は,おおむね1 m 以上であること。
②   階層数は,2層までであること。
③   寝台の長さは1.8 m 以上であり,かつ,幅は0.9 m 以上であること。
②は2階建てベッドが限度という意味。
定員
1.65 m2 につき1人
換気など
・適当な換気,採光,照明,防湿及び排水の設備を有すること。
 

照明設備

・次に掲げる施設の区分に応じ,それぞれ次に定める照度を確保することができるものであること。
①   客室,ロビー及び共同浴室 70 ルクス以上
②   客室の浴室・洗面所及び便所 30 ルクス以上
③廊下及び階段 30 ルクス以上(深夜にあっては,10 ルクス以上)
→今後数値規制は撤廃予定にて検討中です。
 
洗面所
①   宿泊者の需要を満たすことができる適当な規模の洗面設備を有すること。
②   洗面所は,不浸透性材料で築造されていること。
→②は水がしみ込まない素材でできていること。
 

便所

・適当な数の便所を有すること。

浴室

・施設に近接して公衆浴場がある等入浴に支障をきたさないと認められる場合を除き,宿泊者の需要を満たすことができる適浴室当な規模の入浴設備を有すること。
<浴室の要件>
①   屋外から見通せない構造であること。
②   換気及び採光のため,直接外気に接する箇所に適当な数の窓又はこれに代わる設備が設けられていること。
③   湯気抜き又はこれに代わる機械設備が設けられていること。
④   床及び腰張りは,不浸透性材料で築造され,かつ,汚水が速やかに排水できる構造のものであること。
⑤   浴槽及び湯水(再利用したものを除く。)を常時供給する栓(これらが設けられていない場合にあっては,シャワー)が適当な数設けられていること。
⑥   浴槽は,耐水性材料で築造されているとともに,床面から5cm 以上の上縁が設けられ,かつ,必要に応じ内側に足掛かりが設けられていること。
⑦原湯を貯留するための槽(以下「貯湯槽」という。)には,貯湯槽内の湯水の温度を,通常の使用状態において,摂氏60 度以上に保つことができる加温装置が設けられて
いること。ただし,摂氏60 度以上に保つことができないおそれがある場合にあっては,あわせて貯湯槽内の湯水を消毒するための設備が設けられていること。
⑦   原湯又は原水を送水するための配管は,浴槽水を循環させるための配管と接続されておらず,かつ,原湯又は原水を浴槽水面の上部から浴槽に落とし込む構造であること。
⑧   打たせ湯及びシャワーは,循環させている浴槽水を使用しない構造であること。
⑨   屋内の浴槽は,配管等を通じて,屋外の浴槽水が屋内の浴槽水に混入しない構造であること。

→一般的な家庭のお風呂であれば問題なさそうですが要件が細かいため別途現地調査にて役所の判断になるかと思います。
また客室に付属してある浴室では循環させた浴槽水を使用しない構造である。
 
施設の収容定員
簡易宿所営業の施設(省令第5条第1項第1号から第4号までに規定するものを除き,客室の延床面積が33 平方メートル未満のものに限る。)の定員については,客室の延床
面積を3.3 で除した数(1未満の端数が生じたときは,これを切り捨てた数)以下の人数とすること。
 

 施設の利用基準 【法施行令第3条】

営業者は,営業の施設を利用させるについては,次の基準によらなければならない。

(1)善良の風俗が害されるような文書,図面その他の物件を営業の施設に掲示し,又は備え付けないこと。
(2)善良の風俗が害されるような広告物を掲示しないこと。

→こちらは変なポスター掲示物などを張らないでください!ということです。

 宿泊の拒否について 【法第5条,市条例第11 条】

営業者は,下記に該当する場合を除いては,宿泊を拒んではならない。

(1)宿泊しようとする者が伝染性の疾病にかかっていると明らかに認められるとき。
(2)宿泊しようとする者が賭博,その他の違法行為又は風紀を乱す行為をするおそれがあると認められるとき。
(3)宿泊施設に余裕がないとき。
(4)宿泊しようとする者が,泥酔者であって,他の宿泊者に著しく迷惑を及ぼすおそれがあると認められるとき。
(5)宿泊者が他の宿泊者に著しく迷惑を及ぼす言動をしたとき。

→旅館業営業では原則宿泊者の拒否はできないため。

5 宿泊者名簿について 【法第6条,市細則第11 条】

営業者は,宿泊者名簿を備え,これに宿泊者の氏名,住所,職業その他の事項を記載し,当該職員からの要求があったときは,これを提出しなければならない。宿泊者名簿の保存期間は,3年とする
→3年保存が必要。

まとめ

ざっと申請にための要件について説明致しました。
設備要件の細かいところは現地調査で改善の指導があるかもしれません。
また建築基準法や消防法については触れていないので、改めて解説します。

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