ブログ

Blog

建築基準法の一部改正案と今後の旅館業許可について

建築基準法の一部改正案と今後の旅館業許可について

こんにちは。行政書士の安藤です。桜も咲き始め春の訪れを感じますね。
先日より何件か民泊大学さんの記事をご覧になったお客様よりお問合せを頂きました。
消防法改正に続きとても前向きな内容で私も思わず何回も読み返してしまいました 笑
旅館業許可を考える際に、建築基準法のハードルが高く、既存ストックを生かしにくいことや、増改築にお金がかかってしまうことなど
旅館業許可を受けて開業を考えられている皆さんにとって関心の高いテーマではないでしょうか!?
私も以前から気になっていたテーマであったので、今後の許可申請への影響について考えてみました。

目次

旅館業許可に立ちはばかる建築の壁…

旅館業許可を考える上でまず引っかかってくる問題が検査済証と建築関係図書がないケースです。
建築関係の法令を読んでいるとストック活用型ではなく、宿泊施設の新築を行うことを想定しているような内容が多いように感じます。
民泊に興味を持ち宿泊事業を営みたいと考える方の中には新築で建てるよりも、古いアパートやマンション、戸建て住宅などの既存ストック物件の有効活用として旅館業を選択される方も多くいらっしゃるかと思います。
現時点でそのような物件を生かそうと思っても事実上検査済証等がないとコンバージョンできないため(復元図面の作成だけでも既存建築物を建築する際のものと同じ建築図面を作成するのは相当な労力と費用がかかります。)あきらめざるを得ないのが現状です。
※築年数が20~30年以上前の物件では検査済証がないことが多いです。

延べ床面積100㎡の壁

建築基準法上ホテルや旅館は特殊建築物に分類されており、特殊建築物に用途を変更する際には確認申請が必要となります。
この確認申請を行う際に、既存の建築物が適法な状態かどうかを判断するために、検査済証があれば検査を受けた時点では適法であったことが証明できます。
そのため、建築時の検査済証があれば建物の大枠は把握できるのですが何もない場合は上記のような問題が発生します。
(もちろん、その後にリフォームや改修工事を行っていたりする場合は一旦確認時の状態まで戻して、さらに現行法に合わせた工事が必要な場合もあるようです)
例外規定としては延床面積が100㎡未満の場合、確認申請が不要となっている点です。
この規定があるので小規模な建築物ではハードルが下がりますが、一般的な戸建てやテナントでは100㎡をオーバーしてしまうことも多々あります。
(また施行令137条の17に建築物の用途を分けた表があり1号から11号までの区分があり、この分類の中で同じ号のものであれば確認申請の必要はありません。旅館⇒ホテルなど ただし建築基準法への適合は必要)

改正案でどう変わる?

下記今回の改正案の要網から抜粋します。

建築基準法の一部を改正する法律案要綱
第一 建築確認を要しない特殊建築物の範囲の拡大
別表第一 (い)欄に掲げる用途に供する特殊建築物のうち確認を要するものを、当該用途に供する部分の床面積の合計が二百平方メートルを超えるものとすること。

赤文字の部分200㎡を超えるもの…という点を見てもらえたらと思います。
今まで建築確認不要であったのが100㎡までであったのに対し200㎡までと変更になったため、戸建て住宅やビルのテナント部分などでもできる可能性がぐっと高まりました!
その他関係ありそうなものとしては耐火建築物の基準が緩和予定です。(下記要網より抜粋。)

五 耐火建築物等としなければならない特殊建築物の対象の合理化

第二十七条第一項の規定に適合しなければならない特殊建築物の対象から、階数が三以下で延べ面積が二百平方メートル未満のもの(三階を別表第一 欄 項に掲げる用途で政令で定めるものに供するものにあっては、政令で定める技術的基準に従って警報設備を設けたものに限る。)を除くものとすること。

◆いつから適用になるか?について
現時点(3/23)では国会で審議中です。

今後法律が成立すれば、公布⇒施行のながれになります。
施行日については下記の通り公布の日から1年以内とのことなので、少し時間はかかるかもしれませんが近い将来実現しそうです!

(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
一 附則第四条の規定 公布の日
二 第一条の規定並びに次条並びに附則第三条、第九条及び第十五条(高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律
(平成十八年法律第九十一号)第二十四条の改正規定に限る。)の規定 公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日

その他自治体の条例にも注意

例えば福岡市では福祉のまちづくり条例があり、用途変更の際に建物の改修工事などを行う場合には事前協議が必要となります。
誰でも使いやすい施設にするためのバリアフリー化の規定であるため、工事着手前の確認が大事になってきます。

まとめ

既存のハードルが少しでも緩和され、合法的で多様な宿泊施設が発展することを楽しみにしながら仕事をしています!
改正の施行が待ち遠しいですね。

お問い合わせ

Contact

悩むよりまずは気軽に話してみませんか?
お仕事として依頼するかどうかは、ご相談の後にお決めいただいて結構です。

お問い合わせ・面談予約
ご相談の流れ

みらい行政書士事務所

福岡県福岡市博多区祇園町6-26 205号室
092-600-2375
営業時間:10:00-18:00
定休日:土日・祝日
ご相談は予約制です(営業時間外は要ご相談)

最新の情報はこちらから