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用途変更のポイント(福岡市版)

用途変更のポイント(福岡市版)

戸建てやテナントの空きフロアを改装してゲストハウス(簡易宿所)を開業されている方も増えてきています。
一つの部屋を多人数で共用する形態はまさに部屋を(寝床を)シェアすることであって、近年のシェアリングの理念に通じるところがありますね。既存のホテルにはない、いろいろな人との交流ができる点は魅力的です。
またホストとしても一つの部屋で多人数のお客様を収容できるため、収益面も見込めます。(その分宿泊費も下げれます)
そんなゲストハウスを開業するには旅館業の営業許可が必要ですが要件の中に「100㎡以上の空き家などを簡易宿所にする場合は用途変更が必要」となっています。
一体どういうことなのか?解説します。

目次

確認申請の手続き

まずどういう場合に用途変更が必要なのかを見ていきましょう。

既存建築物の用途を変更して,100 ㎡を超える法第6条第1項第 1 号の特殊建築物と する場合は,確認申請及び工事完了の届け出が必要です(法第 87 条第 1 項)

100㎡を超えるについて

建物の床面積が100㎡を超えるものが該当します。建物を上から見た時の面積です。
100㎡を超えなければ用途変更は不要です。
特殊建築物比較
 

法第6条第1項第 1 号の特殊建築物とは?

以下10項目になります。
1.劇場,映画館,演芸場
2.公会堂,集会場
3.診療所(患者の収容施設があるもの),児童福祉施設等・・・(★1)
4.ホテル,旅館
5.下宿,寄宿舎
6.博物館,美術館,図書館・・・(★1) 必
7.体育館,ボーリング場,スケート場,水泳場,スキー場,ゴルフ練習場 要 バッティング練習場・・・(★2)
8.百貨店,マーケット,その他の物品販売を営む店舗
9.キャバレー,カフェー,ナイトクラブ,バー・・・(★3)
10. 待合,料理店 11. 映画スタジオ,テレビスタジオ
ただし、上記同じ番号内の「類似の用途」相互間の手続きは不要となっています。
※注意 下記はの場合は例外となっています。
(★1)第1種・2種低層住居専用地域にあるものを除く
(★2)第1種・2種中高層住居専用地域,工業専用地域にあるものを除く
(★3)準住居地域,近隣商業地域にあるものを除く
 
例えばホテルから1にある劇場から映画館や4の旅館からホテルなどの場合は手続きが不要です。

必要書類

下記の書類が必要になります。

①確認申請書(正・副)等一式(規則第 1条の 3第 1 項第1 号)
添付する設計図書は付近見取図 ・配置図 ・各階平面図 ・床面積求積図 ・2以上の立面図 ・2以上の断面図 ・地盤面算定表 ・既存不適格調書 ・その他法適合の確認に必要な図書
用途変更部分以外は既存建物の確認申請図書のコピーでも可。 ただし建築時の建築確認図と現在の状況が変更になっている部分がある場合はその部分の図面と法チェックを既存不適格事項の改善が必要な場合はその工事内容を記入した図面も必要。

→用途変更部分以外は確認申請時の書類を使用できるようになっています。例えばマンションタイプで2Fフロア部分だけ変更する場合は2F部分だけの書類で大丈夫となっています。 (ただし建築時と異なっている場合などは別途工事内容を記入した書面が必要)
②建築計画概要書(規則第 1 条の 3 第 1 項第 2 号)
③委任状(規則第 1 条の 3 第 1 項第 3 号) 代理者によって確認申請を行う場合に必要。
④既存不適格建築物報告書(福岡市建築基準法施行細則第 10 条)の写し
以下の既存不適格事項は,既存不適格となった日から6ヶ月以内に市長に報告することになっています。
→用途地域の関係や容積率・高度利用地区・防火地域内の建築物などが該当。
⑤建築時の法令に適合していることを示す図書(法第 12 条第 5 項の報告) 既存建築物の確認済証及び検査済証,又は,違反がないことを示すもの。
⑥構造的検討(法第 12 条第 5 項の報告) 既存建築物の建築確認時より荷重の増加が疑われる場合は,その対策を示し た検討書。

既存建築物の適法性とは?

既存建築物が適法に建築や維持されてきたものでないと用途変更の手続きをすることができません。
適法であるとは…
①検査済証の交付をうけているか
②建築後、改装や用途変更等で違反が生じていないか
上記を確認する必要があります。
検査済証を受けていなかったり、その後違反状態になっている場合は是正が必要です。
→行政との協議が必要。

用途変更部分の適法性とは?

①用途変更部分はその用途を現行法に適合させる必要がある。 (法第 87 条第 2 項)
用途規制に適合しない用途変更はできない例
適法性 上図は事務所からキャバレーに用途変更を行っていますが、キャバレーは近隣商業地域での営業が禁止されているため不可となっています。決められた用途地域で行う必要があります。
②用途変更に伴いこれまで対象でなかった規定が新たに対象となる場合はその規定に適合させる必要がある。
既存不適格の規定は適用できません。(法第 3 条第 2 項,法第 8 条)
たとえば…
容積率に関して(事務所の附属駐車場部分を事務室に変更。共用部分の容積緩和を受けている共同住宅をホテルに変更)
採光に関して(ホテルを寄宿舎に変更)
耐火建築物に関して(事務所の 3 階部分を物販店舗に変更する場合建物全体を耐火建築物とする必要がある)
2以上の階段に関して(準耐火構造以外の木造事務所の2階部分 90 ㎡を児童福祉施設に変更)
異種用途の防火区画(耐火建築物の物販店舗の一部を飲食店舗に変更)
等が挙げられます。
用途変更例

用途変更部分以外も適法化させる必要がある?

既存不適格建築物の場合用途変更する部分以外も次頁図で示している防火区画の状況に応じて既存不適格事項を現行規定に適合させること(既存遡及)が必要です。(法第 87 条第 3・4 項)
防火区画の状況によってとありますがどういうことでしょうか?
まずは下記の図を参照ください。


 
イラストのAの部分が用途変更を行う部分、
Bが用途変更部分Aと防火区画されていない部分
Cが準耐火構造の壁・床、又 は遮煙性能のある常時閉鎖若しくは随時閉鎖の防火設備で区画された部分
Dが開口部のない耐火構造の 壁・床で区画された部分 となっています。
そして下の表が既存不適合の場合どの部分を現行法に適合する必要があるかです。こちらについてはケースバイケースなので具体的なことは事案に応じてになるかと思いますが、用途変更部分以外にも建物全体で考えなければならない場合もあるということです。
また上記のような既存遡及の規定が適用されない場合(例外の例外)もありますのでご注意が必要です。
例えば以下の1番目のようなケースです。

2番目(下の)ケースでは2Fが飲食店に用途変更していますが、3Fについても避難階に通じる階段の設置が2か所求めらています。

まとめ

以下用途変更のポイントについてまとめました。

  1. まず用途変更する建築物の床面積が100㎡以上か?
  2. 目的にする用途変更が可能か用途地域の確認が必要。
  3. 類似用途による変更が不要になる。
  4. 用途変更手続きには検査済証等の資料が必要である。
  5. 建物が適法に保たれているか。
  6. 用途変更を行う部分以外にも不適合な場があれば適合するよう修繕を行う必要がある。

個別具体的なことは相談や調査が必要になりますが、概要を把握しておくメリットはあるのではないでしょうか?

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