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共同住宅を宿泊施設にする際の消防設備基準の変化についてざっくり解説(2021年追記あり)

共同住宅を宿泊施設にする際の消防設備基準の変化についてざっくり解説(2021年追記あり)

消防設備の基準に関し民泊新法においても、原則は旅館業許可と同等の基準での消防設備の設置が必要となってくることはご存知かと思います。

今回はこの消防設備基準について共同住宅を宿泊施設にコンバージョンする際の変化を解説したいと思います。

ざっくりではありますが共同住宅と旅館の基準の違いを知ることで、なぜ既存物件での民泊が難しくなるのか…など問題解決の糸口になればと思い知識をシェアさせていただきます。

目次

防火対象物とは?

建物だけが消防法の防火対象物になると思われている方がほとんどだと思いますが、実は山林や船・電車なども防火対象物と規定されています。

民泊で関係してくるのは主に建築物になりますが…(^^;

特定防火対象物について

特定防火対象物とは百貨店、病院、地下街、映画館、飲食店など不特定多数の者が出入りするものをいいます。

そして、旅館やホテルも該当します。非特定防火対象物と比べ消防用設備の設置基準が厳しいことと、常に現行の規定に基づいて消防設備を設置したり維持しなければならないものとなっています。

防火対象物の用途について

消防法施行令別表1に防火対象物の用途について分類されています。

1~20まで分類があり、各用途に応じた消防法の規定が適用されます。

旅館や共同住宅は5項に規定されており(イ)が旅館・ホテル・宿泊所などのグループ(ロ)が寄宿舎・下宿・共同住宅グループとなっています。

ちなみに寄宿舎はシェアハウスや学生寮などキッチンなどの共同スペースを活用した施設、下宿は1か月以上の期間の単位を設けた宿泊施設をいいます。

各種の規定

用途ごとの収容人員や規定が細かくありますが、かなりの分量のため旅館業許可や民泊でよく問題になる部分をピックアップして簡単に説明します。

・スプリンクラー設備の設置が必要な基準

防火対象物 1~3階の延面積 無窓階・地階

 

階ごとの床面積

4~10階

 

階ごとの床面積

11階以上のもの(地階以外で11階)
旅館グループ 平屋以外で6000㎡以上 1000㎡以上 1500㎡以上 全部
共同住宅 不要 不要 不要 全部

火事になった際に煙がこもりやすい地階や無窓階、11階以上の建物は避難が遅れる可能性もあり基準が厳しくなっています。

ただし共同住宅の場合特例基準というものがあり、上記で原則必要なものが個別で判断され免除されている物件もあります。

そのためマンションなどで旅館業を行うために用途を変更する場合は、改めてスプリンクラーの設置や誘導灯などの設置を行わなければ、適法な状態とならず適合通知書が発行されないということもあり得ます。(そこの費用の問題が悩みどころです…)

尚、構造上や費用面でスプリンクラーの設置が難しい場合はパッケージ型消化設備を用いることもできるとなっています。

・誘導灯・誘導標識の設置基準

防火対象物 避難口誘導灯 通路誘導灯

 

居室

通路誘導灯

 

通路

通路誘導灯

 

階段又は傾斜路

誘導標識
旅館グループ 全階必要
共同住宅グループ 地階・無窓階・11F以上の階に必要

ざっと比較のため表を作成しましたが、ここでも旅館グループの基準が厳しいことがお分かりいただけると思います。

上記はあくまで原則でそれぞれの項目で設置免除規定はありますが、ざっと知って頂ければいいのでここでは割愛させて頂きます。

・非常用照明装置と誘導灯について

民泊新法の申請においても規定されている上記の違いについてですが、非常用照明装置については建築基準法に規定されており

誘導灯が規定されている消防法とは異なる法律での規定となります。

(余談ですがそのため消防法を扱う消防設備士の範囲ではない…と以前伺った記憶があります。)

どちらも非常時(停電時に)非常電源等により点灯するものですが、非常照明は通常消えているのに対し、誘導灯はほとんどのところは点灯しています。

まったく別物なのですが、普段聞きなれないものなので、文字だけ見ると混同することもあるかと思います。

 

防火責任者が必要となる場合も 2018/4/4追記

テナントや飲食店などが入った複合ビル(雑居ビル)などは、その中の一室が宿泊施設となるだけでも防火責任者の選任や消防計画の定めが必要になる場合がありますので要注意です!!

理由としては民泊などの宿泊施設は消防法上の区分で(下の表で5項のイ)に該当し特定用途の防火対象物となるためです。(結果建物全体としては16項(イ)に該当)そして収容人員が30人以上で防火責任者の選任義務が生じますが、飲食店などがあると定員ギリギリとなっていることも多く宿泊者分をカウントすると簡単にオーバーすることもありえます。(消防計画の作成なども必要となります)

そのため現状非特定用途の防火対象物となっている建物も、既に特定用途の防火対象物が入っている建物も要注意であることには間違いです。既に防火責任者が選任されている場合でも、今後の消防計画などに影響がないか不動産管理会社や消防に確認を行いましょう。

まとめ

消防設備の基準について、共同住宅からのコンバージョンの際によく質問される事項をまとめてみました。

現場では宿泊施設にするために、共用部分の設備も新たに必要になったりととてもハードルが高くなり現状の実体に合っていないな…と感じる部分も多々あります。

…とそのようなことを考えていたところ、総務省より消防法の改正案が発表されました。

消防法施行規則等の一部を改正する省令(案)等に対する意見公募

まさに上記のスプリンクラーと誘導灯に関する緩和規定の案が記載されております!!

今後の動向に注目ですね!

2021.7 追記

上記の結果大幅に消防設備の設置基準が改正されました。

詳細は下記リンクを参照ください。(更新が遅くなってすいません(汗))

▼民泊の消防法令上の取り扱い等について(総務省消防庁予防課設備係)

https://www.fdma.go.jp/mission/prevention/suisin/items/h30_0626-1.pdf

個別のご相談はお問い合わせフォームよりご連絡お待ちしております(^^

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