ブログ

Blog

民泊新法の具体的な安全措置の基準

民泊新法の具体的な安全措置の基準

徐々に自治体の条例が明らかになってきた民泊新法。
ところが福岡市をはじめ九州地域での条例案の公表はまだ未定で、まだかまだかと期待と不安でドキドキされている方も多いのではないでしょうか。
私も福岡市内の保健所にことあるごとに訪ねていますが、もう少し時間かかるようです。
その間もできるだけ準備をしておきたい!とお考えの方もいらっしゃると思います。
今回は民泊新法での具体的な安全措置の設置基準がわかりやすく手引きとなって公開されていますのでご紹介したいと思います。
各自治体の条例において独自に定められる内容もあるかもしれませんので、詳細は確認が必要ですが参考までにどうぞ。

目次

民泊新法で求められる安全措置の内容

住宅宿泊事業法第6条にて宿泊施設の安全措置として「非常用照明器具の設置方法及びその他宿泊者の安全の確保を図るために必要な措置」を実施することとされており
その詳細が国規則第1条第1号及び第3号並びに国交省告示第 1109 号に規定されています。具体的には下記3つの設備や構造に関することが定められています。

非常用照明器具について

設置の必要性については下の表を参考に判断します。

宿泊室(宿泊客が寝るところ)の床面積の合計が50㎡以下かつ家主滞在型の場合は不要です。

それ以外は下記a.b.cの各場所ごとに判断していきます。

家主不在型でも規模が小さいアパートや2階建ての戸建てなどで採光などが確保されていれば設備の設置は必要最低限で済みそうです。

非常用照明設備の設置について図にしたのが下記になります。
Cの要件の「居室の各部分から屋外への出口等に至る歩行距離」とは図を見る限り部屋の出口から一番遠い場所から20mとなっているので注意が必要です。(宿泊室7参照)

なお非常用照明器具は耐熱性や停電時における点灯性を有するものとして、電球やソケットなどの種類が規定されています。

一般的にはJISマークが張られている製品が対象になっているとのことですが、詳しくは消防設備士などに確認しましょう。

防火の区画について

下記の流れで確認できます。

「宿泊室」(宿泊客が寝る部屋)の合計が50㎡以下なので、一般的な100㎡前後の戸建てやマンションで家主滞在型であれば対象にならないかもしれません。

また家主不在型や宿泊室が50㎡以上でも1つのグループだけに宿泊させる場合は適用外になります。こうみると結構緩和されていますね。

上記「要」に該当する場合は下記AからCいずれかに対応する必要があります。

A  防火の区画 下記の①~⑤の区画等の措置について、該当するものを全て実施

  1. 宿泊室と避難経路の間を準耐火構造の壁で区画し、その壁を小屋裏 又は天井裏まで到達させる。
  2. 4以上の宿泊室が互いに隣接する場合に、宿泊室間を3室以内ごと に準耐火構造の壁で区画し、その壁を小屋裏又は天井裏まで到達させ る。
  3. 隣接する2以上の宿泊室の床面積の合計が 100 ㎡を超える場合には 100 ㎡以内ごとに準耐火構造の壁で区画し、その壁を小屋裏又は天井 裏まで到達させる。
  4. 給水管、配電管その他の管が①から③までの壁を貫通する場合に は、当該管と準耐火構造の区画との隙間をモルタルその他の不燃材料で埋める。
  5. 換気、暖房又は冷房の設備の風道が①から③までの壁を貫通する 場合には、当該風道の準耐火構造の区画を貫通する部分又はこれに近接する部分に、火災による急激な温度上昇の際に自動閉鎖し、閉鎖し た際に防火上支障のない遮煙性能と遮炎性能を有する防火ダンパーを設ける。

上記を図で説明したものがこちらです。

B 自動火災報知設備等の設置 消防法令に定められている技術上の基準に適合するように自動火災報 知設備等を設置した上で、居室については下記①~③のいずれかに適合させる。

  1. 直接屋外への出口等※2に避難できることとする
  2. 居室の出口から屋外への出口等※2の歩行距離を8m以下とし、壁及び戸(ドアクローザーが設けられているもの等)によって通路と区画 する
  3. 各居室及び各居室から屋外への出口等に通ずる主たる廊下その他 の通路の壁(床面からの高さ 1.2m以下の部分を除く。)及び天井の室 内に面する部分の仕上げを難燃材料とし、居室の出口から屋外への出 口等※2の歩行距離が 16m以下とし、壁及び戸(ドアクローザーが設けられているもの等)によって通路と区画する

※2:直接屋外へ通じる出口又は避難上有効なバルコニー(十分外気に開放されているバルコニー等)
ドアクローザーや自動火災報知器などの設置が必要な場合ですが、旅館業法などに比べると基準が緩やかです。

上記を図で説明したものがこちらです。

C スプリンクラー設備等の設置
床面積が 200 ㎡以下の階又は床面積 200 ㎡以内ごとに準耐火構造の壁・ 防火設備で区画されている部分に、消防法令に定められている技術上の基準に適合するようにスプリンクラー設備等を設置する。
スプリンクラー設置は設備投資額が大きいため、新法民泊のみではなく旅館業併用や賃貸住宅併用など大きく事業を行う場合向けではないでしょうか。

届出住宅の規模に関する措置について

適用の有無について
届出住宅が一戸建ての住宅又は長屋(1の長屋の複数の住戸において届出 が行われている場合には、各届出住宅単位で措置を行うこととする。)である場合には、表1左欄の措置を講じる必要があります。ただし、同表右欄の 例外に該当する場合は不要となります。

例外の場合について

表1の右欄に示した「例外の場合」については、それぞれ下記のとおりで あり、これらの対応がなされた届出住宅についても安全措置が確保されていることとなります。
A  表1イの例外の場合について(2以上の直通階段) 宿泊室の床面積の合計が 100 ㎡を超える届出住宅の階において、当該階 から避難階又は地上に通ずる2以上の直通階段を設けている場合

B  表1ロの例外の場合について(内装の不燃化等) 宿泊者使用部分の床面積の合計が 200 ㎡以上の届出住宅において、下記 のいずれかに該当する場合 1) 届出住宅が耐火建築物や準耐火建築物等である場合 2) 1)以外の場合で、宿泊者使用部分の居室及び避難経路が下記の仕様等(建築基準法施行令第 128 条の5第1項に規定する技術的基準)で 仕上げられている場合。

○居室:壁(床面からの高さ 1.2m以下の部分を除く。)及び天井の室 内に面する部分の仕上げが難燃材料(3階以上に届出住宅の居室の 部分を有する場合、天井の室内に面する部分の仕上げは準不燃材料)
○避難経路:壁(全面)及び天井の室内に面する部分の仕上げが準不燃材
C  表1ハの例外の場合について(廊下の幅) 宿泊者使用部分の床面積の合計が 200 ㎡超の階の廊下が、下記のいずれかに該当する場合

  1. 3室以下の専用の廊下である場合
  2.  廊下(3室以下の専用のものを除く。)の幅が、両側に居室がある 廊下にあっては 1.6m以上、その他の廊下にあっては 1.2m以上である場合

D 表1ニ、ホの例外の場合について(耐火建築物等) 2階における宿泊者使用部分の床面積の合計が 300 ㎡以上の場合で、当該届出住宅を準耐火建築物としている場合。 宿泊者使用部分を3階以上の階に設ける場合で、当該届出住宅を耐火建築物としている場合

以上宿泊施設の規模についてでした。100㎡と200㎡の基準が何に該当するか頭に入れておきたいと思います。
長くなりましたが、民泊新法の具体的な設備基準についてご紹介しました。
床面積の考え方の記載もあったのですが、こちらは次回ご説明させて頂きます。
追記:別途消防法に定める消防基準も確認が必要です。

お問い合わせ

Contact

悩むよりまずは気軽に話してみませんか?
お仕事として依頼するかどうかは、ご相談の後にお決めいただいて結構です。

お問い合わせ・面談予約
ご相談の流れ

みらい行政書士事務所

福岡県福岡市博多区祇園町6-26 205号室
092-600-2375
営業時間:10:00-18:00
定休日:土日・祝日
ご相談は予約制です(営業時間外は要ご相談)

最新の情報はこちらから