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民泊は簡易宿所での許可がベスト?~その理由とメリット・デメリット

民泊は簡易宿所での許可がベスト?~その理由とメリット・デメリット

「旅館業の営業許可とは?~混同しやすい4つの種類」の記事で旅館業にも種類があることが
お分かりいただけたかと思います。
今回は民泊において「簡易宿所」での許可が適している理由について掘り下げてご説明いたします。

目次

簡易宿所営業でのメリット

 

宿泊日数の制限がない

 

簡易宿所営業ではこちらが大きなメリットになってくるのではないかと思います。例えば北九州市での特区民泊営業の場合、最低宿泊日数が3日以上必要(北九州市国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業(特区民泊)について)となっていますが、簡易宿所では制限がなしとなっています。そのため日本人観光客の1泊2日などの小旅行やビジネスマンの出張などでにも対応できるためビジネスの幅が広がります。(住宅宿泊事業法でも宿泊日数制限は現状なしとなっています

年間営業日数の制限がない

 

民泊新法(住宅宿泊事業法)では180日の営業日数制限があります。

参照条文  住宅宿泊事業法

第2条3項 この法律において「住宅宿泊事業」とは、旅館業法(昭和二十三年法律第百三十八号)第三条の二第一項に規定する営業者以外の者が宿泊料を受けて住宅に人を宿泊させる事業であって、人を宿泊させる日数として国土交通省令・厚生労働省令で定めるところにより算定した日数が一年間で百八十日を超えないものをいう。

それに対し特区民泊及び簡易宿所営業では年間営業日数の制限がないため、事業性が高いといえます。今後民泊を始めようと検討中の方は新法でお試し期間としてやってみてその後の判断を行うという使い分けも可能かと思います。

  • 福岡市では玄関帳場(フロント)の緩和措置がある

     

玄関帳場に関しては厚生労働省より「旅館業における衛生等管理要領」において簡易宿所でも玄関帳場が必要な旨地方自治体に通知があり、それを受ける形で福岡市も条例において原則帳場の設置が必要になっています。ただし「宿泊者の定員が10人未満の施設であって、健全な営業形態及び宿泊者の安全の確保に関し規則で定める要件を満たすものについては適当な規模の玄関を有すること」となっていますので戸建てや小規模な施設であれば玄関帳場に代替できる設備(ビデオカメラの設置等)で営業できるため大きなメリットとなります。

尚「規則で定める要件」については下記の通りとなります。

  1. 帳場の機能を代替する設備が設けられ,かつ,善良の風俗の保持を図るための 措置が講じられていること
  2. 事故が発生した場合その他緊急を要する場合 に迅速に対応することができる体制が整備されていること
  • 延べ床面積の要件の緩和

     

簡易宿所営業では「客室面積が延床面積で33㎡以上(宿泊者の数を10人未満とする場合は一人当たり3.3㎡以上)となっており、北九州での特区民泊の要件「一居室の床面積が25㎡以上」に対し緩くなっています。延べ床面積とは建物全体の客室面積のことを指すので、1客室の床面積は4.5㎡以上と上記の一人当たりの要件を満たしていればクリアできることとなります。

 

簡易宿所営業でのデメリット

 

  • 建築基準関係法令への適合

     

こちらが旅館営業許可で一番ネックとなる点だと思います。詳しくは別途解説しますが大きく分けて①用途地域の確認②用途変更の手続き③容積率の確認があります。(福岡市の場合別途福祉のまちづくり条例への適合の確認が必要になります)

①    についてはホテル・旅館の立地が禁止されている地域もありますので事前に営業できる地域かどうか確認が必要です。

②    については建物の用途が「住宅・共同住宅」になっており「ホテル・旅館」に変更が必要になります。用途とは建物建築時の使い道のことで用途ごとに建築上の安全面について注意する点がことなるので、今までの使い方と違う使い道に変更するのであれば手続きと建物を用途にあった基準に変更するがあります。

③    については平成9年9月1日以降に新築・増築された共同住宅は建築基準法改正によって共用部分の面積が容積不算入となっている可能性が高いため共同住宅からホテル・旅館に用途変更を行うと容積率の緩和がなくなり容積率オーバー(違法建築)となってしまうことがあるのでこちらも確認が必要です。

  • 消防法令の適合

     

さらに消防法関係にも適合する必要があります。実際に旅館業法の営業許可申請を行う際に消防署から交付された「消防法令適合通知書」を申請書に添付する必要があります。こちらも民泊施設が消防法の「旅館・ホテル等」に該当する場合には、誘導灯や自動火災報知設備などの消防用設備の設置が新たに必要となる場合があります。

また建物の収容人数次第では防火管理者の選任も必要になります。

  • 管理事務所の設置

     

福岡市では玄関帳場(フロント)の設置を行わない場合は「帳場の機能を代替する設備が設けられ,かつ,善良の風俗の保持を図るための 措置が講じられていること」「事故が発生した場合その他緊急を要する場合に迅速に対応することができる体制が整備されていること」となっています。この中には管理事務所の設置が必須となっており、民泊施設から10分以内に駆けつけることができる距離の必要があります。民泊施設に住んでいる方や空き部屋を管理事務所ができれば問題ないですが、新たに周辺に事務所を借りるのは手間もお金もかかってしまいます。民泊施設との距離もに関してもホスト側には厳しい条件なので今後緩和されることを期待します。

・宿泊者との面接及び管理取扱責任者の署名

 

「宿泊者との面接、宿泊者名簿の記載及び建物の管理取扱責任者に関する署名は、施設、管理事務所又はその他の場所において直接対面して行うこと。」とあり「対面して行うこと」が要件となっています。観光できた外国人に事務所まで来てもらうか空港や駅などで待ち合わせをして署名・鍵渡しまでを行う流れとなるでしょう。また建物の管理取扱責任についての署名も同時にもらっておくとスムーズです。

参考「緊急時の連絡方法,火気使用機器の取扱い,火災発生時の初期対応,施設の施錠管理,ごみの処理等,建物の管理取扱責任について宿泊者に説明 のうえ,宿泊者の署名を取ること。」

その他近隣住民からのクレーム措置やポストと玄関扉付近に最低2つ以上の営業施設である旨や施設名を行う必要があります。

まとめ

管理宿所営業許可のメリット・デメリットについて考察させていただきました。
長くなってしまいましたが、簡易宿所についてご理解いただけましたでしょうか。
許可の申請は大変ですが民泊を事業で行うのであれば簡易宿所営業許可が一番収益性が高いと思います。また今後旅館業法自体も改訂されるとの情報もありますので当事務所でもお知らせいたします。
 

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